日時 | 2025年6月2日(月)14:30~16:30 |
---|---|
場所 |
りそなプライベートサロンReラグゼ 大阪府大阪市北区角田町8-1(大阪梅田ツインタワーズ・ノース24階) |
講師 | ジェトロ 中国北アジア課長 清水 顕司様 |
テーマ | 米中関税戦争下の中国の経済と社会 |
鷲尾所感
関西アジア倶楽部第79回、「米中関税戦争下の中国の社会と経済」、日本貿易振興機構(ジェトロ)清水顕司・調査部中国・北アジア課長の話、いかがでしたか…。
色々な含蓄が読み取れる、良いプレゼンだったと思います。
米中関税戦争下、米国に部品を供給する多くの国々が、トランプ政権の強硬姿勢を前に、微妙に、しかし確実にサプライチェーン網を変え始めている。同様なことは中国側にも言えるわけで、中国はここ数年で、急速に米国離れを見せている等など…。
そんな中、米国の強硬姿勢への、中国側の対応にも、状況に慣れて来るに従い、次第に洗練の度合いが増してきている。例えば、米国の姿勢の強弱に応じて、中国側の対米対応策にも、第1弾から第5弾まで、強弱に違いのある様々な措置が準備されている等など(レア―・アースの輸出規制など、その最たるものでしょう)。
中国社会も急速に変貌し始めている。
不動産不況が長引き、亦、コロナ禍前後から消費マインドは大きく落ちこんだまま。企業の投資意欲は膨らまず、人々の貯蓄指向は目に見えて鮮明に…。若者の失業率は高止まりのまま…。所得格差も急拡大等など。
とはいっても、AI分野などに従事の若者は、それこそ寝袋を職場に持ち込み、死ぬほどの意気込みで働いているが、それも30代半ばまで。先端分野では、技術進歩は日進月歩。それ故、30代半ば、或いは40代目前になると、若者でも、技術の進歩に追いつけなくなるのだとか…。小生のような、歳をとったロートルには、聞くのもおぞましい事実です。
最近、日本の新聞などに、中国人の日本移住が進んでいるとの記事がありましたが、そんな現象の背後には、上記のような中国人技術者残酷物語もあるような気がしてきました(小生の偏見かもしれませんが…)。
赤い頃に、稼げるだけ稼ぎ、その後は、その金で日本にマンションを買い、子供を日本に留学させ、その世話のためにお母さんが来日、その後、ご主人もついてくる等など。上海などには、子供を東大に入学させるための塾すらあるのだとか…。
隣国の人に自国への移住を決意させる。それは基本的には、自国が、隣国の人々にとっても生活しやすい良い国だから…。もしそうなら、今必要なことは、適切な条件と保障の下で、きちっと受け入れる制度を整備しておくことではないのか…。そんな制度整備の面で、日本はまだまだやることが多い。
議論の際、出席者の中から「日本ほど社会福祉制度が整った国はない…。外国からの移住者も、一定の金さえ払えば、その恩恵を享受できる」との指摘もありましたが、そんな話を聞くと、即、トランプ大統領のことを思い出してしまいました。
彼はこう言っています。「米国に入国してくる外国からの移住者、それに不法入国者は、米国のソーシャル・セキュリティー制度の恩恵を目当てにやって来るのだ」と…。何でも、話がトランプと結びついてしまう。米国をフォローしてきた過去を持つ筆者の性(サガ)は、こんなところにも顔を出してしまいます。
©一般社団法人 関西アジア倶楽部