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第80回

日時 2025年7月16日(水)14:30~16:30
場所 りそなプライベートサロンReラグゼ
大阪府大阪市北区角田町8-1(大阪梅田ツインタワーズ・ノース24階)
講師 津上工作室 代表
 津上 俊哉
テーマ 米中対立の先にあるもの、グレート・リセットに備えよ

鷲尾所感

関西アジア倶楽部の第80回「米中対立の先に待つもの、グレート・リセットに備えよ」、中国専門家・津上俊哉氏の話、いかがでしたか…。

中国経済には、長年の過剰投資で、質の悪い「資産」と、返済困難な負債が大量に堆積している。富の配分が「お上偏重」で、民営企業や家計に富が回っていない。今の政策は、先送り・対症療法型。しかし、中央財政はまだ健全なので、この種の先送りはまだまだ続く等など。津上さんは、今回の講話で、この種の辛口分析と中国経済の奥深さを、次々と指摘されました。

先送り策の中身には、金融機関に債務の期限繰り延べや利子軽減を強いる。短期・高利の隠れ地方債務を、低利・長期の地方債で借り換えなど、あらゆる手段が含まれている。

不動産問題についても、資金ショートのデベロッパーに銀行に無担保で追加融資をさせる。余剰住宅を地方政府が買い上げて公営住宅に転換する等など、その対処策は融通無碍。

こんな対策がまかり通っているのも、「中央」の財力や問題処理能力への社会の信仰がまだまだ強いから…。

適正な現状認識を述べれば、今は投資ではなく、消費で経済を支えなければならないとき。

しかし、所得分配が国営企業やその幹部に偏重・不公平化しており、その改善が必要だが、その方向に向かっての、改革はまだまだ不十分。つまり、バランス・シートの不合理も、富の不公平な分配構造も、いずれも是正の兆しはなく、故に、短期的な経済崩壊はないが、経済メカニズム内の矛盾の種はむしろ大きくなり、放っておくと、次第に停滞色が強まらざるをえない。

とはいうものの、中国は今や世界最大級の対外純資産大国。だから、中央政府が国債を発行しても消化に苦労するということはない。だから、上記とは逆の指摘になるが、中央にカネが吸い寄せられていく状況では、中央政府の大量の資金放出こそが必要で、今の中国のやり方は、見方によっては、政府の貯蓄主体化を阻止し、むしろ投資主体として、本来の形を維持しようとしている、とも観察され得る。

いずれにせよ、世界経済に占める中国経済の位置づけは、この20年間に急成長、その過程で、中国の科学技術は飛躍的に発展、中国の「モノ作りは今や、世界を席捲している」。

その発展の要因は、人材の豊富さ、世界一充実したサプライチェーン、広大な、しかも競争の激しい国内市場等など、国内の需要が伸びない中、生産されたものやサービスが世界市場に流出、それが中国の大きな貿易黒字の源泉であり、この黒字の還流の在り方が亦、世界経済に大きな影響を与えている。

直近の動きでは、米中対立の過程で、中国の貿易構造も変化、同時に中国が資本輸出大国となってきた。これほどの主役に成長した中国を相手に、米国は対決を強いているわけで、その対立の行方如何によっては、自由貿易体制が解体する辞退する想定され得る等など…。

津上さんは、そんな分析のまとめとして、中国社会の内部には、以下のような認識があるとして、次の3点を指摘される。

  • 共産党の専制を止めたら、中国はカオスに陥る
  • 米国が中国を潰そうとしている
  • 一般市民の暮らし向きは悪化」といわれるが、都市の中間階級の暮らしはまだそれほど悪化していない。対して、農民工と農村の暮らしは悪化。問題は、農民などの社会的弱者がどこまで生活苦に耐えられるか…。

こうした中国経済・社会の現状に対し、米国のトランプ政権は、戦後の米主導の国際秩序を自ら破壊している。故に、中国の一部には、中国より先に、西側体制が衰退するのではないかとか、「今こそ中国の踏ん張りどころ」との見方も…。

いずれにせよ、そんな国際情勢を一言で言い表せば、「至る所でせめぎ合いの真最中」というのが適切ではないか…。

そもそもトランプは、中国とどんな交渉をしたいのか?台湾は、トランプが「軍事不介入」を宣言すれば、強制的な「平和統一」に追い込まれてしまうのか…?東南アジアは、このままでは中国の経済圏に組み込まれる。

では、日本はどう対応するか?今回のトランプ関税は、東南アジアにおける、そうした中国の動きを阻止できるか?韓国はどうする?

そして日本は?

日本の政治対処能力が問われています。

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