開催実績

第87回

日時 2026年3月6日(金)14:30~16:30
場所 中華人民共和国駐大阪総領事館
大阪市西区靱本町3丁目9-2
講師 中華人民共和国駐大阪総領事
 薛剣
テーマ 大阪総領事として観た、中日関係

鷲尾所感

関西アジア倶楽部の第87回「大阪総領事として観た、中日関係」、薛剣総領事との質疑、いかがでしたか…。

総領事館側の対応も、時節柄でしょうが、且つ総領事自身が渦中の人になっているので、会場の選定から、事前の準備等々、色々と慎重に対応されていたように思います。

一方、我が倶楽部メンバーの側も、中国側の内実を知り、且つ、講師が外交官という立場の制約をも知りながら、基本的には民間の日本人としての視点を崩さず質疑する、そんな姿勢が顕著だったように見受けられました。

オフレコを前提とした質疑会だったので、詳細な内容は差し控えますが、兎も角も、緊張感と満足感に満ちた質疑となりました。

そもそも会場周辺の警戒からして大層なものでした。こうした警戒を毎日続けている警察も大変でしょうし、そんな中、公務をこなし、且つ、個人としての日常生活も行う。それ故、中国の外交官たるもの、日本への親しみを込めながらも、現状の日中関係の下、常在戦場の気迫に満ちた仕事ぶりなのでしょう。

その意味では、双方にとって、緊張且つ丁寧な質疑となったと、主宰者として、評価しております。

勿論、中国側は原則論を崩しませんでした。それでも倶楽部の会員側からは、「総領事の略歴を拝見すると、小さな頃から外交官を志望されていたとのこと、何故、専門分野として日本を選ばれたのか」とか、「日本にいる中国外交官の方々はこれまで、草の根重視を唱えられていたのに、今回は何故、外交部として、自国民に日本観光自粛を求める姿勢を打ち出されたのか…」等など、日本人にとっては、心底からの当然の質問も多く出されました

倶楽部メンバー側の顔ぶれも多様で、その構成も良かったと思います。中国駐在経験豊富なビジネスマンや、現職を離れたとはいえ、なお矍鑠としたマスコミ関係者、さらには中小企業経営者、大手企業のサラリーマン、大学関係者等など…。特に大学生が7名も入ってくれたことには、主宰者としては大感謝で、彼らの質問も総じて洗練されていました。

参加者一同の気を引いたのは、講師の気さくな、人間味あふれる発言ぶりでした。大阪万博で直接に同総領事に触れた人の間で、親近感を感じた向きが多かったのも、さもありなんの印象でした。譬え、そんな評価が半分でも本当だとしたら、そんな人間を、「台湾についての原則論」を言わねばならない立場に誰がしたと、薛剣講師としては、日本側を責めたい気持ちなのでしょう(あくまでも筆者感想)。

対して、そんな人ですら、本国の方針を忠実に実行する、外交官も大変だなぁと、日本側はため息の一つも出てこようというもの…。こんなところにこそ、中国と日本、それぞれの立場の違いを浮き田たせた政治の現実があるのですから…。

講師の話は、これまでの中国側の主張の再説でしたが、一方で、聞いていた筆者などに「そうだなぁ」と思わせたのは、講師が述べた次のような言葉でした。「…心の距離を締めるという場合、中国側からして気になるのは、日本の一般の方々が歴史の変化をまだあまり肌身で感じていないことだ」と述べられた点…。

確かに30年前、40年前には、日中間には、経済や国際政治力で象と蟻ほどの違い(筆者表現)、つまり日本の優位性があった。そして、その頃の日中関係感覚を、今日でも多くの日本人が肌身で覚えている…。でも、この30年~40年の間で、両国の力関係は大きく変わり、中国の力は日本のそれより格段に強まっている(軍事力はもちろん、経済や産業の競争力等など)。つまり、残念ながら、日本の力は落ちている(筆者の表現)。

そして、講師が言わんとしたのは、この力量変化を日本の政治もマスコミも、自国民に適切に伝えてはいない。講師の話の節々からは、そんなある種の不満も垣間見られたように思いました。恐らく言いたかったのは、「お互いの立場を熟知した上での関係認識の再構築が必要だ」と…(筆者感想)。

対して、当倶楽部メンバーの多くは、「そんな中国側の認識こそが問題で、人と人との草の根交流の意義は、あるべき国家間での関係認識などではなく、本来の草の根交流の意義は、あくまでも人と人との感情面での共振に基づく友好な雰囲気の育成なのではないか…」と。

筆者がそんな事を考えていると、帰りの途で、参加学生の一人が「…そう言った人同士の友好ムードが必要なら、何故、今、パンダを引き上げたままにするのでしょうね…」と問いかけてきた。

関西アジア倶楽部のモットーは、今現在の問題を、最も適切なタイミングに、最も適切な講師をお招きし、個々人が率直に、当該講師の専門知識や経験に基づく意見を聞く、という処にあるわけで、今回は或る意味、理想的な質疑の機会となりました。

参加された倶楽部メンバー、それに応じていただいた中国大阪総領事館に感謝の意を表し、本所感に換えさせていただきます。

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