| 日時 | 2026年4月20日(月)14:30~16:30 |
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| 場所 |
りそなプライベートサロンReラグゼ 大阪市北区角田町8-1(大阪梅田ツインタワーズ・ノース24階) |
| 講師 | 元防衛事務次官、元内閣官房副長官補など 高橋憲一様 |
| テーマ | 日本の安全保障、事務方トップは、どのような非常事態を想定しているのか |
鷲尾所感
関西アジア倶楽部の第88回「日本の安全保障、事務方トップは、どのような非常事態を想定しているのか」、高橋憲一元内閣官房副長官補、元防衛省次官との質疑、いかがでしたか…。
高橋さんは、嘗て国家安全保障局次長や、コロナ対策事務局長代理を務められた、文字通りの実践家。そんな講師が来てくださったので、折からのイランによるホルムズ海峡封鎖の下、出席者との質疑も盛り上がりました。
出席者から出された質問は、イラン戦争のあおりを受けた原油価格の高騰への各国の対応ぶり、ホルムズ・ルート以外の原油輸出代替3ルートへの懸念など等、実に多岐に渡りました。更に、過去これまでに実施された、中東周辺への自衛隊派遣の実例…、万が一、自衛隊が派遣され、米国とイランとの戦闘継続中に活動を行わなければならなくなったりすれば、そんな場合の、憲法9条の絡みはどうなるのかなど等も…、講師は、それら一つ一つに丁寧に答えてくださいました。
特に興味深かったのは、ペルシャ湾での自衛艦の機雷掃海の実例でした。日本政府は1991年4月24日、自衛隊法第99条に基づき、ペルシャ湾に掃海艇を派遣することを決定。派遣艦船は6隻・500名。掃海母艦は「はやせ」。補給艦は「ときわ」、掃海艇は「ひこしま」、「ゆりしま」、「あわしま」、「さきしま」。派遣期間は1991年4月26日~1991年10月30日だったそうです。この派遣期間中に、34個の機雷を処分したとのこと。
出席者からの質問は、仮想事態を前提にしたものが多く、講師からの答えも、当然、可能性指摘に留まり、実際どうなるか、具体的なものではありませんでした…。しかし、それは、問題の微妙さ故に、当然だろうと、出席者は皆納得、それ以上の突き詰めは、お互い控え合ったようでした。
こうした質疑の中で、高橋講師からは、いわゆる「マイナー自衛権」についての説明もありました。それらは、これまで日本政府が、国会質問などを通じ、明らかにしてきた自衛権発動に関する答弁類…。
例えば、平成9年12月3日の橋本総理(当時)の答弁…「国連憲章51条は、自衛権の発動が認められるのは武力攻撃が発生した場合であると規定しておりますが、武力行使以外の侵害に対して自衛権の行使を排除するという趣旨であるとは解しておりません」
更に、平成10年2月20日の橋本総理答弁…「武力攻撃に至らないような武力の行使に対して、必要最小限度の範囲で武力を行使することは、一般国際法上認められ、憲法51条は、これを排除していない旨を申し上げたものであります」
或いは、平成14年4月4日の中谷防衛庁長官答弁…「武力工作員などの侵入が、その態様等から外部からの武力攻撃に該当すると判断し得ない場合、我が国の公共の秩序の維持の観点から第一義的には警察機関が対処するものであるが、一般の警察力を持って対処することが出来ないときには、自衛隊法に定めるところにより、自衛隊に治安出動や海上警備行動を命じることが出来る」など等
いずれにせよ、それら質問への講師の答弁内容自体、我々のような安全保障の素人には耳新しいものでした。
勿論、出席者からは、上記以外でも、より現実的・具体的な質問も沢山出されました。例えば、イランと、そして米国に封鎖された現在の海域で、日本として何が出来るか…。或いは、何が出来ないか…。そうした議論で講師より披瀝されたのは、この封鎖の本質が海賊行為ではないこと。
これは、軍隊同士の対立であって、こんな事態下では、機雷掃海のための自衛隊の派遣は出来ない(前述のように、戦後、或いは、停戦後ならできる)。では、それなら情報収集目的の自衛艦の派遣は出来るのか…。
そうした実例は過去にあるか等々、質疑は絶え間なく続きました。
そうした質疑のやり取りの中で、講師から興味深い情報も聞き出せました。例えば、イランは、自分の領海と称する海域を通過するタンカーから、1バーレル当たり1ドルの暗号資産による通行料を取ろうとしているとか、日本関係者保護のための自衛艦を派遣する場合が仮にあるとすれば、そこには恐らく次の4つの条件が満たされなければならないだろう。
その4条件とは、船籍、日本人乗員、日本企業の所属、重要物資…、など等。亦、ホルムズ海峡はこれまで、航行の自由を保障されていた。
それ故、通行料を取ってはいけないことになっていた(通行規制は出来るが…)、今回イランは明白に、そうした自国に課せられた抑制を取っ払おうとしている等々。
毎回の鷲尾所感の中で、何度も記した記憶がありますが、関西アジア倶楽部のモットーは、今現在の問題を、最も適切なタイミングに、最も適切な講師をお招きし、個々人が率直に、当該講師の専門知識に少しでも迫ろうというもの。
その点では、今回の講師との質疑でも、その目的を十分に達したものと、主宰者としては喜んでおります。
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