2026年11月の、米中間選挙分析用忘備メモ~建国250周年祝賀ムードの中で~
熱波などの悪天候のため、大幅に開始予定時間を遅らせながらも、建国250周年の祝賀イベントが2026年7月4日、米国歴史の象徴ワシントン・モニュメントとリンカーン・メモリアルの間に所在する、広大なナショナルモールで開催された。
そして、この“規模と派手さで人目を引いた”一連の大イベント、その実質的な総合プロデユーサー役は、恐らくはトランプ自身だったはず…。
この式典に先立って、クリントン(民主)、ブッシュ・ジュニア(共和)、オバマ(民主)、バイデン(民主)の、4人の元大統領が各々独自にメッセージを発出、いずれも、自身のメッセージの中で、「米国は建国以来、それぞれの世代が民主主義のために戦ってきた」と強調、こうした努力は今なお、そして今後ともに継続されるとし、「そうした努力の継続こそが、米国をして米国ならしめている」(バイデン)と謳い上げた。
そんな中、名指しこそ避けたものの、現在のトランプ流やり方が、米国自身の民主的制度や米国社会の脅威になっていると、強い危機感を言外に示したのは民主党のクリントン。こうした認識に呼応するように、共和党のブッシュ・ジュニアも、選挙における投票の重要性を強調した。
曰く、「あなた方は、投票結果に満足しないかもしれないが、投票する能力と投票で国の将来を決することが出来るのは、何にも増して、“強力な自由”を象徴しているのだ」と…。
このブッシュ・ジュニアのメッセージには、極めて意味深なものがある。
現在の議会共和党は、トランプが、嘗てのブッシュ・ジュニア共和党主流を完全淘汰して創り上げたものであり、その意味では、ブッシュ・ジュニアの心中にも穏やかならざる気持ちが充満していると思われるからだ。
恐らくはそんな心情を基礎に、何かに付けて選挙不正や“盗まれた選挙”を強調するトランプ大統領への強烈な批判を、ブッシュ・ジュニアのメッセージの中に読み取るのは、「深読みのし過ぎではない」と、筆者は考えている。
いずれにせよ、こうした元大統領たちの主張に対し、祝賀式典でトランプ大統領が実際に発したメッセージには、過去の歴史の延長上に位置付けた、自らの実績(ベネズエラやイランでの戦果など等:しかも、それらの成果を、過去のどの時代よりも、自分は上手くやった;US was “ doing better more than we have ever done before)誇示と、今や、自らが指導して黄金期を迎えている米国への自賛が溢れている(His speech…branded the championship of American achievements…The Hills :2026年7月4日)。
4人の元大統領たちのメッセージと、現職のトランプ大統領の主張との間の違いとして、否応なく目につくのは、そうした米国の繁栄をもたらした基礎としての、たゆまぬ自助努力と責任を強調しているかどうかの有無だろう。
歴代の大統領たちは、程度差は兎も角、そうした「力の行使に伴う努力や責任」を強調しているのに、トランプ演説では、自賛の件が前面に来ており、そうした実績を積み上げる際の責任と努力への言及は殆どない。
嘗ての米国の歴代大統領は、人気映画スパイダーマン的に言えば、“With great power comes great responsibility”といった、力は、その力行使に伴う責務がある、という趣旨のNoblesse Oblige的哲学を、強弱のニュアンスは兎も角も、各々持っていたと思われるが、トランプの意識の中には恐らく、そんな慎みの哲学等殆どないのだろう。
そして、トランプの、こうした35分にわたる大統領スピーチの後、85万発とも言われる、大量の花火がワシントンの深夜の空を40分に渡って埋め尽くした(その為、翌日のワシントンは、世界の都市の中でも、最大級の大気汚染に見舞われたという)。
こうした式典の構成ぶりや、物量を惜しまぬ大規模実施は、例えてみれば、トランプ自身が嘗てNBC テレビで実際に企画・製作・出演した番組“apprentice”のProducer役を、今度は米国大統領の立場で、全米規模で演じて見せたという処か…。
要するに、今回の一大イベントは、事の是非はともかくも、今の米国が実質的に、トランプが企画・運営する、ある種の専制国家なのだということを、思い知らせるものとなった。
トランプ大統領の、建国250周年記念祝祭典前後の、或る意味での“はしゃぎぶり”とは裏腹に、トランプ支持率は低迷を続けている。
選挙世論調査で定評のあるReal Clear Politicsの公表データによると、最近のトランプ支持率は常に40%を割るか、辛うじて40%を維持するレベル…。しかし、この程度の低支持率状態は、彼の第一期政権時代にもしばしばみられた現象であって、その意味では、私見ではあるが、トランプ岩盤支持層は今でも、大きくは損なわれてはいないと見た方が良いのではないか…。
ただ、そうはいっても、トランプ陣営、そして、幅広くは共和党陣営にとっての問題は、「味方は減っていないが、逆に、敵が増えている」とみられる事態が出現していることだろう。
つまり、トランプへの不支持率が60%近く(厳密は57%)にも達している点こそが、問題なのだ。
今から10年も前、2016年の大統領選挙でトランプが初当選した直後、英誌Economistは以下のように記していた(2016年11月12日)。
Mr. Trump was carried to office on a tide of popular range. This is powered partially by the fact that ordinary Americans have not shared in their country’s prosperity……In the real terms median male earnings are still lower that they were in the 1970s……The resultant loss of self-respect ……Anger has sown hatred in America. Feeling themselves victims of an unfair economic system……Americans blame the elites in Washington for being too spinless and too stupid to stand up to foreigners……。
そして、第一期トランプ政権の後、民主党バイデン政権の4年を経て、2024年大統領選挙でのトランプ返り咲きを可能にしたのも、亦、上述の様なOrdinary AmericansのAngerなのだ。
この事実は、2016年に現実だった米国社会の分断と、その底辺に取り残されそうになっている社会の下部層という構造が、第一期トランプ政権、並びに民主党バイデン政権の手でも、結局何ら改善されず、実質的には放置され続けてきたことを意味している。
だから、そんな社会下部層の不満がますます深まり、2024年には、眼前のバイデン政権への怒りとして堆積、結局、そんな怒りの声が再びトランプ支持に再結合されたというのが実相なのではあるまいか…。
そして、その際のOrdinary Americansとは、具体的には、重工長大型産業の工場労働者たちだったということになる。
彼らは、従来ならば民主党の中核支持者だったが、米国経済の産業構造変貌に伴って、謂わば、米国の経済繁栄から落ちこぼれてしまった層(忘れ去られた人々)。
その彼らが、トランプ指導の下、支持政党を民主党から共和党に乗り換えて、或る意味、トランプの共和党乗っ取りの主戦力となったのだ。
言い換えると、議会共和党の議員たちにとっては、今までアプローチしようと思っても、不可能だった民主党の中核支持者が、トランプに導かれて共和党陣営に大量に入ってきたという次第。
つまり、トランプが推薦してくれたら、彼らの票が自分たちの許に来る、そんな状態が現出することになった。逆に言えば、集票を切望する共和党議員たちは、トランプに睨まれると、彼らの票はトランプが推薦した別の候補者の手許に集まる。
議員たるもの、選挙に際して、大量の集票能力を持った人間は絶対に敵に回したくない。かくして、トランプの共和党内グリップは、選挙の度に強化されていったのだ。
そして今回の中間選挙、そんなトランプの集票マシーンは、私見でしかないが、未だ決して、その機能を減じてはいない。
唯、これまでと違うのは、トランプが支持を表明すれば、今回は、その支持に反発する別の票(トランプの不法移民対策に反発を強めているヒスパニック票、トランプの打ち出す各種政策に反感を強めている無党派票など等)が、明らかに、反対党である、民主党に向かって投じられる状況が、再び現出し始めている点なのだ。
そうしたトランプへの反感の強まりは、これまで大統領人気にぶら下がってきた連邦議会の与党共和党には明らかに逆風。
トランプ大統領が、建国250周年を祝う、Mount Rushmoreや首都ワシントンのナショナルモールでの演説で、民主党の中、とりわけニューヨークやカリフォルニアといった大都市で台頭しつつある、Anti-Establishmentを標榜するワシントン・アウトサイダーたちを、一括りにして、“民主党内の社会主義者”、更には“共産主義者”と呼んだのは、自らの支持基盤たる“忘れ去られた人々”に、その類の主張に惑わされないよう、釘を刺した意味合いが大きい。
そしてこの局面に観られるのは、トランプ支持のMEGA派に象徴される、共和党内の“右派系社会不満分子グループ”と、トランプ政策に触発される形で、民主党内に新たに発生しつつある“左派系不満分子”との対立構図なのではあるまいか…。
言い換えると、トランプ大統領誕生とともに、米国社会で発言力を高めた右派勢力の代表ともいうべきMAGA派が、第2次トランプ政権の、大統領の専制的やり方に強く反発し始めている左派勢力の代表格、民主党内の社会主義者グループと敵対させられる構図が出来上がりつつあるのだ。
しかし、こうした“右派対左派”と、それぞれが信奉する価値観の違いこそあれ、経済構造激変に際して、“忘れ去られた人々”として、実質的に同じ立場に置かれた者同士が反目する構図の現出は、決して好ましいものではあるまい。
真の政治は、そうした対立を生み出さないように運営されるものでなければならないはず…。
この一点に注目する限り、現状のトランプは、こうした対立の結果として表舞台に立っているのではなく、明らかに、そうした対立の原因として機能している。
基本的な話に戻れば、米国有権者の議会への信認は近年、低迷を続けている。余りにも党派対立が激しく、“決められない状況”が長く続いているためだ。
そういう眼で、直近の有権者の議会への信認ぶり(支持率)を観ると(勿論、そうした調査の発表主体によって、結果数字は異なるが…)、例えばYOU GOV社の調査では、直近(2026年5月)の議会への信認率15.2%。対して不信認率は65.8%となっている。
***もっと極端な数字を拾ってみると、例えばStatista Research社は、上記と同じ2026年5月の数字として、議会への信任率僅か12%、不信任率80%という数字をはじき出している。この種統計のブレの大きさが知れるというものだが、いずれにせよ、連邦議会への有権者の不信感は相当なものと言わねばならない。
そうした調査の内訳を観てみると、とりわけ有権者の中でも年長者の不信感が大きいようだ。
上記YOU GOV社の調査では、30歳以下(信頼28.2%⇔不信頼51.3%)、30~44歳(信頼17.2%⇔不信頼59%)、45~64歳(信頼11.4%⇔不信頼69.2%)、65歳以上(信頼10.7%⇔不信頼75.6%)。
日本などでは、若者の政治不信という、定式化された言い回しをよく耳にするが、上記調査結果を観る限り、今の米国では、年寄りの政治不信の方が顕著なようではないか…。
***尤、日本でも直近の、総選挙直後のNHK世論調査では、高齢者の支持政党の上位に共産党が入って、ちょっとした驚きを感じたが、高齢になり、退職をした後に(つまり年金以外に、所得が無くなった段階で)、これまでのデフレ状態が急変、いきなりインフレの時代を迎えるようになると、政治が、所得支援や子育て支援等への福祉政策(老人にはあまり関係がない)に集中した議論ばかり行っているように見え、自分たちが米国の“失われた人々”と同じ様に扱われている感覚が強くなる。
筆者のような年寄りには、米国ばかりではなく、日本でも、以前と比べて、高齢者の政治不信の声が出やすくなっているような気がするようになっているのは、僻目というものであろうか…。
いずれにせよ、こうした有権者の議会不信は、煎じ詰めればワシントンの政治関係者(Washington Insider)不信と同義のもの。
そして、この種の“Washington Insider不信”が、共和党・民主党を問わず、今回中間選挙の各州予備選で、現職がワシントン・アウトサイダーを標榜する対立候補に予想外の敗北を喫するケースが多発する原因ともなっているのだ。
例えば、7月6日時点で既に、下院では民主党現職5名と共和党現職3名が、それぞれの予備選で、党内のAnti-Incumbentを標榜する対立候補に敗退している。
亦、上院でも、トランプの対立候補支持表明なども影響して、共和党現職2名が(ルイジアナ州とテキサス州)、党内の対立候補(挑戦者)に予備選で敗北する憂き目に遭っている。
しかし、実態的に観れば、民主党内のアウトサイダーの台頭と比べ、共和党内の現職敗退は、トランプ自身が、共和党内の己への反対論者を排除しているため、という色彩が濃い。
つまり、与党共和党内では、有権者の右派的不満分子の支持をトランプが独占し、対して、野党民主党内のそれは、文字通りに、ワシントン・アウトサイダーが民主党内のインサイダー代表である党執行部を突き上げる構図となっている。
要するに、両党内では、同じ不満分子の動きといっても、その基本性格と機能は大分に異なっているわけだ。
共和党内では、トップにいるトランプこそが究極のワシントン・アウトサイダーであり、対して、野党民主党内では、そんなトランプに抗いきれていない党指導部を、突き上げる批判勢力として、アウトサイダーたちが動き始めている、という構図…。
だからこそ、民主党の議会指導者たちは、そうした党内でのアウトサイダーたちの台頭に警戒の念を高めているのだ(AXIOS:6月29日:It is not just progressive vs moderate…it is insiders vs outsiders…Democrats growing distrust of party leaders…)。
最後に、2026年中間選挙の、現時点での結果予測にも触れておこう。結論を記せば、下院では民主党が多数派を奪還する勢い。上院では民主党の多数派復帰は、無理とまでは言わないが、現状かなり困難、というのが通説か…。
米国政治においては、大統領当選2年後に実施される“中間選挙”では、当選大統領の政策評価が行われるという意味で、大統領の与党に不利な結果をもたらすことが多い。
更に、今回の中間選挙、米国有権者の多くが、「米国は悪い方向に向かっている」との認識を持っている中での実施となる。
亦、トランプ大統領に対する無党派層有権者の反感もかつてない程に高まっている。それ故、与党共和党指導部は、中間選挙での逆風を覚悟している模様。
世論調査好きの米国の事、来るべき中間選挙(下院)の結果についても、「現時点で見る限り」との注釈付きながら、数多くの世論調査が公表されている。
その中から、Vote- Scope社の予測(直近行われた637の予測を基礎に、5万回以上のシミュレーション・チェックを行った末の結果だと豪語する)を例示しておくと、同調査に「実際に投票するつもり」と答えた有権者の内、民主党支持が53.7%、共和党支持が46.1%だったという。
実際の投票が仮に、この通りの支持配分だったとすれば、同社の予測では、共和党当選者は208~210名(議席減8~10名)、民主党の当選者は225~227名(議席増12~14名)になる計算。
下院の勢力は現状、共和党218名。対する民主党212名、それに無所属ながら実質民主党と共に行動する議員が1名いる。
その他に議員の死去や辞任などによる空席が4つあり、それ故、全下院議席は435となるわけだが、この実情は下院共和党のジョンソン議長にとっては、常に気を張り続けなければならない程の、文字通りの僅差。
これは、トランプ与党の下院共和党でありながら、僅か3名の造反者(民主党への同調者)が出るだけで、法案を採択できなくなる、それほどの僅差の数字。同党のジョンソン議長は、そんな下院での綱渡りを常に強いられ続けてきた。
そんな困難にもかかわらず、ジョンソン議長はこれまで、トランプ大統領の指示の方向に向けて、ある場合は大統領の議会への影響力に助けられ、亦ある場合には、トランプの強引な要求を、幾ばくかでも和らげるよう大統領を説得して、何とか議会下院の運営を、スロー・テンポながらも大統領の思惑通りに、文字通り忠実に進めてきたのだが、イラン戦争を契機に表面化した、社会を覆うトランプ批判を前に、議長の下院共和党内掌握にも、次第に緩みが出始めている模様。
次々と表面化するトランプ関連スキャンダル(大統領就任以降、何かと話題が尽きない、政治と癒着したトランプ・ビジネス関連ニュースや、イラン戦争遂行過程に起こった数々の問題:国防予算の不足、軍高官の罷免騒ぎ)など等を前に、態度を硬化させる民主党や、トランプ支持で必ずしも纏まりきれない共和党…。そんな現実に、これまで有効に機能してきたジョンソン・マジックも、次第に色あせてきているようなのだ。
そうした下院議長の苦境を知ってか知らずにか、ここに来ても猶、トランプ大統領は、選挙の投票に際して、投票者が米国市民である証明書や投票権保有を証明する身分証証明書の提示を義務付けるべきだとの、自分の予てからの主張を実現させる法案を、議会に採択させようと(The Save America Actの採択を求める)、ジョンソン議長に圧力をかけ続けている。
要は、下院での、優位の度合いが文字通りの僅差であるが故、ジョンソン議長はこれまでにも、無理な議会運営を強いられてきたのだが、中間選挙を目の前に、下院選挙での共和党不利の状況が次第に明確になって来るにつれ、周囲がこれまでと違って、次第にジョンソン議長の言うことを聞かなくなって来ているのだ。
言い換えると、議長の党内操縦術能力にも陰りが見え始めている(Promising Much to Many, Jhonson Loses His Grip on The House ;NYT 2026年7月5日)。
そんな共和党側の足並みの乱れを尻目に、中間選挙での多数派奪還を視野に入れ始めた下院民主党は、選挙後のトランプ攻囲作戦を、早々と練り始めた様子。
米国議会情報専門のAXIOS(7月3日)によると、最近公表されたトランプ絡みのビジネス情報開示(927ページにも及ぶ、トランプ関連企業の2.2billionにも及ぶ収益情報など等)を基に、議会民主党は、選挙後、トランプ・ビジネスを詳細に吟味し、場合によっては裁判に訴える作戦を着々と準備し始めたと伝えている。
***一方、共和党の世論調査専門家Whit Ayres氏は、「過去の中間選挙時の 経験則では、時の大統領への支持率が50%以上なら、与党の下院議席は平均14名程度の減少で済んでいるが、大統領支持率が50%を割ると、与党の下院議席の減少は、これまでの各中間選挙を通じて、最大で32名にも達している」とした上で、しかし、今回は、「少し事情が違うかもしれない」と、楽観的予感を口にしている(The Hill 7月6日)。
何故なら、①米国の有権者は、嘗てないほど共和・民主両党への分裂が進んでおり、言い変えると、共和党支持層の固定化が進み、従来ほどには下院の共和党候補への投票率が落ち込まないのではないか…。
②共和党優位の幾つかの州で、トランプ大統領肝煎りの(共和党候補が有利になるような)ゲリマンダリング的下院選挙区の修正が現在、急速に進められており、この修正努力が実を結べば(勿論、同様の努力が進行中の民主党優位州での、民主党なりの選挙区調整の進捗状況とも関わって来るが…)、それら新選挙区から、少なくとも6~10名程度の共和党下院議員誕生の可能性が高いから…。
つまり、こうした諸点を勘案すれば、与党共和党下院の議席取りこぼしも、巷間の世論調査が伝える程の大差にはならないだろう、というわけだ。
今回レポートも亦、いつもと同様長くなり過ぎたので、以下に上院選挙の、現時点での予測を示して、本稿の終わりとしたい。
人民代表の位置づけである下院と異なり、上院は州代表。各州2名ずつ50州から選ばれる、総数100名の議員集団。その任期は6年で、2年毎の選挙で3分の1ずつが改選期を迎える。
今回改選されるのは34名(内、共和党14名、民主党20名)。
上院の勢力は、現状、共和党53、民主党47。要するに、今回選挙で民主党が上院で多数を制するためには、再選に臨む20議席を死守した上で、共和党改選議席14の内から4つを奪還しなければならない道理。
そう考えれば、この挑戦、かなりハードルが高いことは直ぐにわかるだろう。
7月1日付のNYTは、そうした状況を概観するのに格好の記事を提供してくれる。そのタイトル曰く、”Control of the Senate Is Up for Grabs, Times/Siena polls Find”。
現状は共和党が席を占めるが、民主党候補が激しく攻め挙げている接戦州6州のそれぞれでの激戦ぶりを、下記のような表で示してくれているかただ…。支持率を観る限り、文字通りの接戦中だという実態がよくわかる。
唯、そうは言うものの、「これら激戦6州の内、民主党が4州で勝つというのは…。苦しい・・・」。
| 共和党候補の支持率 | 民主党候補の支持率 | |||
|---|---|---|---|---|
| ノースカロライナ | Richard Whatley | 43% | Roy Cooper | 50% |
| メイン | Susan Collins | 47% | Graham Platner | 49% |
| テキサス | Ken Paxton | 47% | James Tarlarico | 47% |
| アラスカ | Dan Sullivan | 47% | Mary Peltra | 45% |
| アイオワ | Ashley Hinson | 48% | Jhon Turek | 46% |
| オハイオ | John Husted | 56% | Sherrod Brown | 47% |
***選挙候補者が女性問題で落とされるのは、今や米国では常の出来事。
この6州の内、メイン州の共和党現職は、最も脆弱視され、挑戦者の民主党の漁師Platnerが激しく現職Collinsを追い上げていたのだが、ここに至ってPlatner候補の女性Rape問題が発覚した。
そのため、民主党はPlatner候補に座を降りるよう要求せざるを得ない羽目に…。
民主党は、最も議席奪還の可能性が大きかった州で、みすみす、絶好の機会を失した感が強い。
エプスタイン・スキャンダルを始め、トランプ大統領自身の女性裁判問題、更にはカリフォルニア州知事選で最も有望だった民主党候補の女性に対する暴力問題など等、今の米国一体どうなっているのだろうと思わせられる、男性議員の女性問題スキャンダルで一杯。
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